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抗菌力だけじゃない!スーパーフードでもあるはちみつの効用

近年、美容や健康法の分野でも高い注目を集めているはちみつ。最近は特にはちみつ、というと「マヌカハニー」のイメージが強いかもしれません。
先日、書いた耐性菌とアロマのように、薬剤耐性の問題からも、はちみつの抗菌作用が注目されています。

でも実は、はちみつのすごいところは、抗菌作用だけではありません。今回は、はちみつの様々な効能や活用法など、抗菌作用以外のはちみつの魅力に焦点をあてたいと思います。

また、残念ながら、市場には純粋ではない加工はちみつがたくさん出回っています。その背景や純粋なはちみつの見分け方についても紹介していきます。

目次

万能薬かつスーパーフードでもあるはちみつ

はちみつは、昔から健康長寿の源となる存在でした。インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」でもはちみつは薬として扱われ、様々な治療に使われていたのです。

たとえば、歯や歯茎の健康保持、不眠の改善、傷や火傷の治療、心臓の不調や動機、白内障の治療などです。

『[入門]世界一やさしい はちみつの教科書』/有馬 ようこ (著)
あき

傷や火傷の治療などはなんとなく想像がつきましたが、心臓の不調や白内障の治療にも!とは驚きですね。

古代ローマの博物学者大プリニウスの著述の中にも、「はちみつを常食する養蜂家がたくさんいる村には、百歳を超える長寿の人がとても多い」とあるそうです。
また、古代エジプトでは、ミイラの保存にも使われていたとのこと。

あき

以前、ミイラの保存に精油が使われていたと書きました。ということは、ミイラの保存には、ミルラなどの精油と併せ、はちみつが使われていたわけですね。
なんだかとってもいい香りがしている現場だったのかも、などと妄想が膨らみます。

1番古いはちみつの記録は、スペイン東部バレンシア地方にあるアラーニャ洞窟に、はちみつを採っている女性が描かれた壁画だそうです。紀元前6000年頃に描かれたとされています。
このように、はちみつは古くから人々の生活に重宝されてきたのです。

栄養食としても優秀なはちみつ

はちみつは栄養成分の約80%を糖が占めています。その糖は単糖類といわれるブドウ糖と果糖です。単糖とはこれ以上分解する必要のない単位の糖であるため、消化吸収がスムーズで、すばやくエネルギーとなります。

それに加え、からだが必要とする各種ビタミン、ミネラル類が、バランスよく含まれているのです。まさに「スーパーフード」ともいえるでしょう。

アメリカの大学教授が、3か月はちみつと牛乳だけで生活するという実験をして、健康上の問題はなかったというエピソードがあります。はちみつが、いかに栄養豊富かわかりますね。
ただ、その実験の最後の方では、わずかにビタミンC欠乏症の症状が出たそうですが。

ビタミンCだけは、はちみつだけではやや不足するので、補う必要があるということです。

あき

「はちみつレモン」という組み合わせは、理にかなっていたのですね!

薬剤耐性とはちみつ

古代から薬として活用されてきたはちみつですが、20世紀になるとペニシリンの発見を機に、次々と抗生物質が開発されて、はちみつの薬としての役割は影を潜めることになりました。

ところが、抗生物質が効かないという薬剤耐性菌の問題が発生して、再び、はちみつが薬としても注目されるようになったのです。

アメリカの症例を紹介しましょう。
抗生物質が効かない耐性菌に感染した患者が、感染症による潰瘍で手足の切断をせまられる状況になりました。切断しなければ命を落としてしまいますが、患者本人は「切断するなら死んだほうがマシ」と考えていました。

そこで、医師たちは古代の医学書を頼りに、かの古代ギリシャの「医学の父」ヒポクラテスにも絶賛された方法を試したのです。はちみつを浸したガーゼで傷口をくるむという方法です。
すると、潰瘍が改善し始め、1年後にはその患者は歩けるまでに回復したそうです。

このような症例が多く寄せられたことから、はちみつが医療現場でも再び注目されることになりました。

マヌカハニーのブレイク

今や日本でも、多くの人に知られるようになったマヌカハニー。マヌカハニー入りをうたった、のど飴なども見かけるようになりました。

1980年代ニュージーランドで、マヌカハニーには、他のはちみつにはない独自の抗菌・治癒成分があることが発見されました。この有効成分は「MGO=メチルグリオキサール」という物質だったということを、2008年にドイツの研究機関が突き止めて、発表しました。
それを機に、はちみつは医療品としてもさらに注目されることになります。

ちなみに、ヨーロッパには昔から、蜂療法の伝統があり、ドイツでも養蜂や蜂療法が盛んなのです。

他のハチミツにも抗菌効果がありますが、マヌカハニーには「メチルグリオキサール」が含まれているので、より高い殺菌効果が期待できるというわけです。
喉の痛みを和らげたり、風邪予防の目的で、マヌカハニーを愛用する人も多いようですね。

はちみつを取り巻く問題

はちみつは、万能薬としてもスーパーフードとしても優れていることがわかりました。ぜひとも家に常備しておきたいものです。しかしながら、「純粋」とうたいながら、実はそうではないはちみつが出回っているのも事実です。

次に、はちみつを取り巻く問題をみていきましょう。

本来のはちみつ

一匹のミツバチが一生に集めることができるはちみつは、小さじ一杯分と言われています。

私達人間は、ミツバチの一生分のお仕事をひと口で頂いてしまうわけですね。ミツバチの一生を思うと、有難く感謝しながら頂かなければ、と思います。

そもそも、はちみつとはどんなふうに作られるのかをお話しましょう。

ミツバチが花から蜜を集めた段階では、はちみつではありません。ミツバチがもつ酵素で分解されることにより、はちみつになるのです。

まず、ミツバチが花から集めた蜜を持ち帰り、自らの唾液と混ぜて、分解していくのです。吐き出したものを他のミツバチに口移しをするのを繰り返します。そうすることで蜜が変化していくのです。

先にお話しました通り、はちみつは単糖類です。花の蜜の段階では、二糖類のショ糖ですが、みつばちが唾液と混ぜていくことで分解されて単糖類になります。
そして、巣の中でミツバチが羽ばたいて水分を飛ばし、濃縮・完熟したものがはちみつとなるわけです。

はちみつの組成の国際基準では、はちみつの水分量は、全体の20パーセント以下でなければならないとされています。

水分を飛ばすのを待ちきれずに収穫したはちみつは、水っぽくなります。その国際基準の数字だけを満たすために、高熱で加熱して、水分を蒸発させてしまう業者や製造工場もあるのが現状です。

世界三大アダルトレーションのひとつであるはちみつ

世界三大アダルトレーションとは、偽装が行われている食品のトップスリーのことです。「アダルトレーション(adulteration)」は「混ぜ物」を意味します。

世界三大アダルトレーションは、

1位:オリーブオイル、2位:牛乳、3位:はちみつです。

あき

いずれも健康によいといわれ、私達の日常に欠かせない食品ですから、衝撃ですよね。

はちみつに関しては、マーケットに出回っている9割以上に人工シロップが入っていることが報告されているそうです。人工シロップは、主に遺伝子組み換えのトウモロコシや甜菜を原材料としているので、安価に大量生産することができます。

ここで問題なのは、人工シロップの毒性です。人工シロップは、遺伝子にダメージ、炎症の原因、重金属による汚染やでんぷんの混入、がん促進、肥満、鬱病などを引き起こすことが報告されています。
人工シロップ入りのはちみつを食べると、健康になるどころか、身体にダメージを受けてしまうのです。

食品偽装はマヌカハニーにも起きています。
マヌカハニーはその高い抗菌作用や希少性から高値で取引されていました。ゆえに、メチルグリオキサールを人為的に増やした偽物が多く出回っているといいます。

高濃度MGOの高級品であっても、検査をするとその数値に満たないケースもあります。高価だからといって、信頼できる商品とは限らないのです。

実際に、ニュージーランドやオーストラリアのマヌカハニーの生産量よりも、多い量のマヌカハニーが市場に出回っているという報告があります。偽装品が出回っている、と考えられます。

本物のはちみつの条件と見分け方

自分の身体に入れるなら、きちんと栄養が摂れる本物のはちみつがいいですよね。本物のはちみつの条件と見分け方をみてみましょう。

非加熱のものを選ぶ

ラベルに「非加熱」「Raw」と表記されているものを選びましょう。つまり、完熟まで待てずに採取して、水分を飛ばすために高温加熱されていないものです。

45度以上の加熱をすると、はちみつのビタミンや酵素が壊れてしまいます。

ただし、「非加熱と呼べるレベルの加熱」処理をされることはあるそうです。

マイナス何十度にもなる極寒地域で採れるはちみつは、常温に置いておくと、固まって瓶詰めができなくなります。瓶詰めをするまで、25~26度で管理した倉庫に置いていくことがあるそうです。こういった場合も「非加熱」と判断します。

非加熱の「純粋」はちみつを選ぶ

「純粋」はちみつを選びましょう。はちみつ以外の成分が入っていないはちみつを選ぶことは、もちろんですが、この「純粋」という表現には注意が必要です。「純粋」はちみつだとしても、非加熱とは限らないのです。

はちみつの表記には、全国はちみつ公正取引協議会により、以下のルールが定められています。

「純粋」、「天然」、「生」、「完熟」、「ピュア」、「ナチュラル」、「Pure」、「Natural」その他これらと類似の意味内容を表す文言を表示する場合には、「純粋」又は「Pure」という文言のみを使用します。他の「天然」、「生」などの用語は使用できません。

https://honeykoutori.or.jp/rule/

この「純粋」の表記だけでは温度処理については、わかりません。高熱で水分を飛ばしていて、ミネラルやビタミンなどの栄養素が失われているはちみつである可能性もあるのです。

また、全国はちみつ公正取引協議会には、以下のような記載もあります。

*現在、「天然」、「生」、「完熟」の解禁について検討中です。

https://honeykoutori.or.jp/rule/

「生」や「完熟」などの表記がされるようになると、もう少しわかりやすくなるのかもしれませんね。

プラスチック容器ではなく、瓶の容器に入っているものを選ぶ

プラスチック容器からビスフェノールA(BPA)という化学物質が溶け出し、体内に入ることで起きる健康被害が報告されています。

正直、私の日常は完全にプラスチック容器を避けられてはいません。選択肢があるときは、瓶の容器を選びたいと思っています。
プラスチック容器については、別途、調べてみたいと思います。

周辺環境やミツバチの餌、養蜂家の考え方がわかるものを選ぶ

  • 薬剤や人工シロップをミツバチの餌にしていないこと
  • ミツバチに抗生物質を使っていないこと
  • 周辺に環境汚染がないこと

なども重要です。これらは、ラベルに載っている情報だけではわかりません。Webサイトなどから可能な限り、養蜂家の考え方などを調べるとよいでしょう。

私も買ってみました

近所の自然派食材店で、ニュージーランド産のはちみつを買ってみました。
まずは、「非加熱」と書いてあることを条件に、花の種類のチョイスはなんとなくですが…。ラベルに蜜源や味についても書かれているというのが、大量生産のはちみつとは違うな、と感じています。

朝にひとくち、夜にひとくち、とそのまま食べたり、ヨーグルトに入れたりしています。

はちみつの活用法

はちみつを風邪予防や、喉の痛みの緩和に活用する人も多いと思います。はちみつの抗菌作用や粘膜保護作用を活用しているのですね。
他にも、はちみつの活用法はあります。順に紹介していきます。

はちみつで歯磨き

私達には「甘いものは虫歯になる」というイメージが根強いので、はちみつで歯磨きとなると驚く人は多いと思います。

古代からアーユルヴェーダにおいても、歯や歯茎の健康にはちみつが活用されてきたわけです。はちみつは虫歯の原因のミュータンス菌の働きを抑える作用があると言われていますので、その効果も期待できるでしょう。

または、普通に歯磨きをしたあと、はちみつで歯をコーティングする、という活用方法もよいかと思います。

はちみつで目薬

これも驚くような活用法ですが、アーユルヴェーダでは、はちみつが疲れ目や充血、白内障の予防にもいいとされています。

『ひとさじのはちみつ』の著者の前田京子さんは、はちみつを綿棒でちょんと目に入れて試したそうです。めちゃめちゃしみて、涙がボロボロでたそうですが…眼精疲労が回復したそうですよ。

私は、めちゃめちゃしみると聞いて、まだ試す勇気がありません(笑)

はちみつ風呂

クレオパトラは、美容のためにはちみつ風呂に入っていたと言われています。

はちみつは水をひきこんで、そこに留めるので保湿剤として使えるのです。それと同時に肌のターンオーバーや再生を促します。なんとも、嬉しい作用ですね。

はちみつ風呂は、バスタブに大さじ3程度のはちみつを入れるだけです。簡単に試せますね。

栄養と保存に優れ備蓄品にも

はちみつは、自然災害に備えた備蓄品としても優秀です。

水分が少なく、強い抗菌作用をもつはちみつの中では、ばい菌が繁殖できないので、常温保存をしても腐りません。
また、ガスや水道や電気が使えないときに調理せずに食べれますし、すでにお伝えしました通り「スーパーフード」ともいえる栄養価があります。

日常使いの他に、いざというときのための予備を用意しておくのもよさそうですね。

はちみつは、1歳未満の子どもには与えないように注意してください。はちみつにボツリヌス菌が混入していることがあります。
1歳未満の子どもがはちみつを食べると、乳児ボツリヌス症にかかることがあります。はちみつ入りの飲み物やお菓子にも注意してください。

おわりに~1さじのはちみつを大切に頂きたい~

今回は、万能薬かつスーパーフードでもあるはちみつのすごい力を知ることができました。

薬剤耐性の問題においても、今後の活用の幅に期待がもてます。一方で、はちみつを取り巻く問題点も見逃せません。

本物を見極める目を養うとともに、ミツバチが一生かけて出来た1さじのはちみつを大切に感謝しながら頂きたいと思います。

■参考にした書籍と記事

『ひとさじのはちみつ 自然がくれた家庭医薬品の知恵』 前田 京子 / 著

『はちみつ日和 花とミツバチと太陽がくれた薬』前田 京子 / 著

『[入門]世界一やさしい はちみつの教科書』 有馬 ようこ / 著

抗生物質が効かない細菌に、蜂蜜で対抗

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