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更年期をオープンに語ろう!更年期の迎え方と付き合い方

更年期をオープンに語ろう!更年期の迎え方と付き合い方

女性の一生は、「思春期」「成熟期」「更年期」「老年期」と4つのステージに分けられるといいます。「閉経は女の終わり?」なんて声も聞こえてきますから、「更年期」以降は、なんだか明るいイメージを持てない、という方もいらっしゃることでしょう。

ですが、平均寿命から考えれば、閉経以降の人生もまだまだ長いのです。そうであれば、更年期から先も出来るだけ心地よく幸せに過ごしたいと思いませんか?

そこで今回は、更年期への備え方や更年期の過ごし方、セルフケアでできることについてお伝えしていきます。これから迎える更年期に不安を抱いている方、「これって更年期?」と思う症状がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

目次

今回参考にした本

私自身がそろそろ更年期世代に入ってくるので、書籍で学んでみました。
今回参考にした本は、

『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】 』著:高尾美穂

『枯れないからだ』著:森田敦子

です。

『いちばん親切な更年期の教科書【閉経完全マニュアル】 』の著者、高尾美穂先生といえば、今、テレビや雑誌、WEBメディアでも大活躍中の産婦人科医です。ヨガや生き方の発信もされています。
この本は、更年期のメカニズムなど基本的なことから、治療方法、セルフケアまで紹介されており、まさに教科書といえる一冊です。

『枯れないからだ』の著者、森田敦子先生は、フィトテラピーの第一人者。フランスで植物療法を学ばれました。
本書では、膣の役割やケアの重要性、正しいケア方法などが紹介されています。更年期や閉経後も含めた女性の人生について考えるきっかけを与えてくれた一冊です。

気になる方は、ぜひ本もチェックしてみてくださいね。

更年期っていつから?

そもそも、更年期とはいつから始まるのでしょうか。
更年期は閉経年齢の前後5年、合計10年をさします。閉経年齢の平均値は約50.5歳だそうですから、だいたい45歳~55歳が更年期の目安です。

生理が12か月以上来ない状態を閉経といい、最後に生理が来た年齢をあとから閉経年齢と判断します。つまり、更年期の始まりは、閉経してからわかるわけですね。今年から更年期などとわかればいいのにとも思いますが、「もしかしてこれって更年期?」と思えるサインはあるかもしれません。

次に更年期の兆候や閉経の過程について、みていきましょう。

更年期の兆候と閉経の過程

更年期の兆候としてわかりやすいのが、月経周期の乱れです。
これまでより、周期が長くなる、月に2回生理が来る、経血量が増えるまたは減る、1度の月経の期間が長くなるあるいは短くなる、など、現れる変化もさまざまです。また、肩こりや腰痛、イライラや不眠、ホットフラッシュ等の症状が出るのも、更年期の始まりのサインかもしれません。

閉経を迎える過程としては、徐々に経血量が少なくなっていったり、2~3か月の1回の頻度に減っていったりする方もいれば、ダラダラと長く続く生理を経験するケースもあるようです。
体験談によると、しばらく生理がなかったのに、最後にどばーっと量の多い生理が来て終わったという話も聞いたことがあります。このように、閉経までの過程にも、個人差が大きいようです。

更年期症状と更年期障害の違い

更年期症状と更年期障害は、混同しやすいですが意味が異なります。

更年期症状のあらわれ方にも個人差があります。更年期症状にはホットフラッシュや肩こり、頭痛などがありますが、どの症状が出るかも人によって、さまざまですし、これらの症状がほとんど出ない方もいます。

更年期症状のうち、日常生活に支障をきたすほど重い症状を更年期障害といいます。つまり、更年期を迎えたら、更年期障害になる人とならない人がいるわけです。

更年期に起こること

そもそも更年期の体には何が起きているのでしょうか。まず、女性ホルモンについてお話ししましょう。

更年期って身体に何が起きているの?

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。どちらも、脳の視床下部から指令を受けて卵巣から分泌されます。

エストロゲンの役割は、子宮内膜を厚くして妊娠に備えることです。他にも、肌や髪のうるおいを保つ、丸みをおびた体つきにするなど、女性らしさを保つ働きや、骨を丈夫にする、メンタルを安定させるなどの作用があります。

プロゲステロンは、排卵後に分泌されるホルモンで、妊娠を維持する役割をします。体温をあげ、栄養や水分をためこむ働きをしますので、生理前のむくみやPMSの原因になることもあります。体に妊娠が起こらないと、プロゲステロンの分泌が減り、子宮内膜が剥がれて体外に排出されます。これが月経です。

40代を過ぎると、卵巣機能が低下し、エストロゲンの分泌量も低下します。血液中のエストロゲン量の低下を察知した視床下部は、エストロゲンを分泌するように指令を出します。

ところが、機能が低下した卵巣からは、視床下部がいくら指令を出しても、エストロゲンの分泌量は増えていきません。そうすると、視床下部に混乱が生じて、視床下部のコントロール下にあった自律神経にも乱れが生じます。
結果、体にさまざまな不調が起こります。これが更年期症状のメカニズムです。

更年期によくある症状

更年期の症状というと、ホットフラッシュやイライラなどの症状がよく知られているかと思います。

ホットフラッシュは、エストロゲンの減少で自律神経が乱れ、血管の収縮や拡張がうまくいかなくなって起こる症状です。同じ理由で発汗や冷えなどの症状も出ます。

イライラや不安感などの精神的症状もやはり、エストロゲンの減少が原因で、自律神経の乱れに加えて、エストロゲンの減少にともない幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが不足することが原因で起こります。

また、更年期には肩こりや腰痛の症状が出る方も多いようです。自律神経の乱れで血行不良になりやすいことと、筋肉の緊張が原因といわれています。その他に、目やのど、皮膚の乾燥、吐き気等の消化器系の症状、尿失禁などの泌尿器系の症状が出る方もいます。

更年期との付き合い方 予防、緩和、治療について知っておこう

先にもお伝えしました通り、更年期の症状のあらわれ方には個人差があります。更年期とうまく付き合っていくには、それらの症状の予防、緩和、治療に関する手段と選択肢を知っておくとよいでしょう。
ここでは、更年期障害の治療方法や起こりうる症状、セルフケアで出来ることについて、ご紹介します。

もしも辛い症状が出た場合には、病院で治療を受けるという選択肢があります。
ですが、辛い症状があっても、「更年期は誰にでも訪れるものだから」「時期が来れば終わるから」と耐え続けようとする方が多いとも聞きます。
辛く困っているときこそ、専門家に相談するのがよいのでは、と私は考えています。

更年期障害の治療

更年期障害の主な治療方法にホルモン補充療法と漢方薬による治療があります。

ホルモン補充療法(HRT)

ホルモン補充療法は、減少したエストロゲンを補充する治療法です。
更年期の症状は、急激なエストロゲンの減少によって引き起こされます。ホルモンを補充することによって、その急激な減少を緩やかにすれば、症状が和らぐという考え方です。

特に、ホットフラッシュやほてりなどの血管系の症状に効果的といわれています。その他、骨密度の維持や膣委縮の予防にも効果を発揮するそうです。

実際に補充されるホルモンはごく少量であり、飲み薬、貼り薬、塗り薬があります。症状や閉経しているか、子宮があるかなどから、薬の種類や量を判断します。多くの場合は、プロゲステロンも同時に補充します。エストロゲンだけを補充すると、子宮内膜が厚くなり、子宮体がんのリスクが高まるからです。

また、ホルモン補充療法(HRT)は、乳がんのリスクを少し高めるという海外のデータがあり、それを心配される方もいらっしゃいますが、HRTによる乳がんリスクの上昇は生活習慣などが原因による乳がんリスクの上昇と同等かそれ以下ということが分かっています。
ただし、がんや他の病気があると、この治療を受けられないこともありますので、持病などがある方はそのことも含めて医師に相談をしましょう。

漢方薬

更年期障害の改善には、漢方薬が使われることもよくあります。
効き目はゆるやかですが、イライラ、肩こり、疲れやすい、めまい、冷え、肩こり、不眠といった多様な症状の改善に適しています。
メンタル不調と不定愁訴が漢方の得意分野といわれており、ホルモン補充療法と併用することもあります。

閉経後のお悩み

閉経後に起こる身体の変化についても、ご紹介しましょう。閉経後に、多くの女性を悩ますのが下半身の悩みです。QOL(生活の質)に支障が生じることもあるくらい悩ましい問題なのです。

具体的には、膣委縮、骨盤臓器脱、尿もれなど、GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)といわれる症状です。

それまでは、エストロゲンによって守られていた体内から、急激にエストロゲンの分泌量が低下すると、膣粘膜が衰えて、膣が委縮したり乾燥したりするわけです。それが、性交痛やかゆみにもつながることもあります。改めて、エストロゲンの影響力の大きさを気づかされますね。

また、加齢や運動不足などから、骨盤底筋が衰えることでもさまざまな症状が出ます。
骨盤臓器脱は、子宮、膀胱、直腸などを支える骨盤底筋の衰えによって、臓器が膣口から外へ出てきてしまう症状です。
最初はくしゃみなどの腹圧がかかった時にだけ出てきていたものが、常に出ている状態になったり、複数の臓器が落ちてくるケースもあります。状態によっては、歩行に支障が出ることもあります。

それに、くしゃみや咳をすると尿もれを起こしたり、お風呂やプールから出たあと膣から水が出たりという症状を経験したことがある方も多いのではないでしょうか。骨盤底筋が衰えると、尿道や膣を締めたり緩めたりすることがうまくできなくなるからです。これは、運動不足も大きな原因で、閉経前や若い方にも起こりやすい症状です。

セルフケア

次に、更年期や閉経後のお悩みに対して、セルフケアで予防や緩和する方法をみていきましょう。

運動

高尾先生が書籍の中で「更年期以降の健康維持に欠かせないものとしてとくに強調したいのは、運動です」とおっしゃっているように、やはり健康の鍵を握るのは運動です。

とくに、「健康寿命」という観点でみてみると、2019年の厚生労働省のデータでは、日本の平均寿命と健康寿命の間に、男性で約9年、女性では約12年の差があるそうです。つまり、最後の10年は寝たきりで要介護状態というのが、よくあるということです。

以前にも書きましたが、人生の最後まで自力で歩いて、それこそ棺桶まで歩いていきたいと考えている私にとっては、衝撃のデータでした。特に女性は、閉経にともない、骨を丈夫に保つ働きをしているエストロゲンの分泌がグンと減ることで、骨粗しょう症になりやすくなります。骨折や運動機能の低下は要介護状態になる原因として高い比率を占めています。

そうならないためには、やはり運動習慣が必要ですね。高尾先生の書籍の中では一気に歩かず細切れでも構わないとして、1日8,000歩のウォーキングを推奨しています。

ウォーキングはメンタルにも作用するといいます。ぜひ、生活に取り入れたいものです。

ウォーキングの他に、もうひとつ意識したいのが骨盤底筋を鍛えることです。
骨盤底筋を鍛えれば、更年期世代の下半身のお悩み改善につながります。ワイドスクワットやケーゲル体操は、特別な道具も多くのスペースも必要としないので、日常生活に取り入れやすいかと思います。

食事

健康を維持するためには、食事の内容が重要なのはいうまでもありません。
イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをするそうなので、積極的に摂取したいところです。イソフラボンは、納豆、豆腐、油揚げ、味噌などの大豆製品に多く含まれています。

また、丈夫な骨の維持には、骨の材料となるカルシウム、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムが骨に定着するのを助けるビタミンKも欠かせません。
それぞれの栄養素が多く含まれる食材は、

カルシウム
・牛乳、サバ、小松菜

ビタミンD
・鮭、卵、きくらげ、

ビタミンK
・納豆、ほうれん草、ブロッコリー

などですね。

ビタミンDに関してはこちらの記事も参考にしてみてください。

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アロマを使ってリラックス

更年期世代を悩ませる症状に、イライラや落ち込みなどの精神症状や不眠もあります。アロマを使って、リラックスやリフレッシュの時間を設けてみるのはいかがでしょうか。
脳に届いた香りの分子が自律神経に作用し、心を落ち着かせたり、リラックスさせてくれます。

ゼラニウム、クラリセージ、ラベンダーなどがおすすめです。特別な道具がなくても、ティッシュに精油を1~2滴たらして枕元やベッドサイドに置いて眠るなどの活用方法もありますよ。

膣ケア

膣のうるおいを保つことも重要です。なぜなら、粘液力は免疫力でもあるからです。膣粘膜の粘液によって外部からの細菌から体を守る自浄作用があります。

ところが、更年期になるとエストロゲンの減少により、膣の粘液が減ってしまうと、免疫力も低下してしまうのです。マッサージや保湿など膣周りのケアによって潤いを保つ必要があります。

フランスでは当たり前のように、デリケートゾーンのケア用品がスーパーで売られており、高齢の女性もケアをしているそうです。膣周りのケア自体が恥ずかしいものではなく、健康を保つために当たり前にすることとされているからでしょう。

デリケートゾーンのお手入れをすることで、高齢になっても排泄機能を保つことができるかもしれません。それに将来、排泄で誰かのお世話になるとしても、お手入れをしてあればケアがスムーズになるでしょう。

排泄は人間の尊厳を保つための大事なポイントです。私自身は、恥ずかしいという考えから改めて、当たり前のケアとして捉えてみたいと思っています。

周囲への理解を求める

何かと困った症状が現れがちな更年期には、周囲の理解や協力を求めることも大切です。
更年期世代の女性は、社会的にもたくさんの役割や責任を負っています。職場で責任のある立場であったり、プライベートでは子育てや介護をしてる方も多いことでしょう。

辛い状況でも、誰にも相談できず、ひたすら我慢しようとする女性が多いといいます。更年期の症状のせいで今まで通りのことが出来ない、辛い、そんなときは、家族や職場に状況を伝えて理解をあおぐことをしてみてはいかがでしょうか。

以前よりも、更年期のことをオープンに話せる時代になり、女性の健康支援や更年期に関する啓蒙活動に取り組む企業も出てきました。とはいえ、まだまだ男性の上司には言いづらい、同じ女性でも更年期症状を経験していない人にはわかってもらえない、などという問題もあるでしょう。
仮に全員に理解されなくても、誰か1人でもわかってくれる人がいれば、ずいぶん心も軽くなるのではないでしょうか。もっと理解が広まって、1人で抱えこんだりあきらめたりしなくて済む社会になるとよいですよね。

他には、婦人科で専門家にアドバイスをもらうという手もあります。とにかく1人で抱えこむ必要はないんだ、ということを忘れないで頂きたいと思います。

閉経したら女の終わり?

閉経を女性性の喪失と感じる方もいるようです。確かに、閉経すると妊娠や月経という女性にしかない機能が失われます。

しかし、本当に「閉経したら女の終わり」なのでしょうか。

自分が女性かどうかは、自分のあり方次第だと私は考えています。
先にもお伝えしましたとおり、フランスの女性のように、高齢になってもセクシャリティを重要視する文化もあります。
それに、閉経後は、月経周期を気にせずに温泉やビーチリゾートに行けるなどの身軽さやホルモンの乱高下に悩まされることもなくなった!という先輩方の声も聞きます。閉経を悲観する必要もないのでは、と思います。

おわりに 自分の身体の中に何が起きているか知っておけば怖くない!

更年期というと、更年期障害のイメージが先立って、不安に思う方もいらっしゃることでしょう。美や若さの喪失を恐れている人もいるかもしれません。

更年期に自分の体の中に何が起きているのか、それに伴った症状は何が起こりうるのか、知っていくことで、心の備えをすることができます。また、予防や緩和、治療にどんな手段や選択肢があるのかを知っておけば、自分に困った症状が現れたときにも心強いのではないでしょうか。

更年期から先の人生も心身ともに豊かに過ごしていけたらいいですよね!私は、今回の読書を機に、更年期について考えたことで、これから先に迎える変化を前向きに捉えることができそうです。

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