本当に片付けが必要なのは、モノではないかもしれない ━━お片付け小説『腕が鳴る』

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物であふれかえる実家を見て、少しは捨てればいいのに…と思うけれど、親たちはどれも「捨てられない」ものだという。
今年こそは思い切って物を捨てようと思っていたのに、そのまま年を越してしまった…。
あるはずのものが見つからずに、もう一度買った。

これらに思い当たる節がある人もいらっしゃるのではないでしょうか。

片付けがテーマになった小説『腕が鳴る』を読んでみると、片付けというのは物と向き合う前に心と向き合う必要がありそうだ、という感想を持ちました。
今回は、小説を読んで感じたことをシェアしたいと思います。

目次

あなたに近い登場人物もいるのでは?

この本は、整理収納アドバイザーの中村真穂が、依頼主の片付けを手伝う物語5編で構成されています。

第一話 買い過ぎた家
物を買いすぎてしまう70代の女性。
巣立っていった子どもの部屋と亡くなった夫の部屋は物置き部屋。

第二話 物が消えるリビング
「ゴミで人は死なない」と主張する妻。片づけたい夫。
空き巣に入られても何を捕られたのかわからないほどに散らかっていた。

第三話 服が溢れるクローゼット
仕事に家事に育児にと忙しくしている女性。クローゼットには、扉を閉められないほどの服がつまっている。奥のものは取り出しづらいから手前にあるものばかりを着てしまう。

第四話 段ボール箱だらけのアパート
60代の喫茶店の店長。結構な量のものを捨てたと思っていたが、引っ越し先の収納スペースが少なく、ダンボールのまま部屋に積まれている。処分しようとは思っているのだが…。

最終話 ちょい置きでカオスになった部屋
物が増える度に、棚やケースを買い足してきたが、ついにどこも容量オーバー。そんな部屋に住む2人は、お互いが入りきらなかったものを「ちょい置き」する天才であり、ちょい置きした場所を忘れる天才でもあった。

いかがでしょう?なんとなく、ご自分やご家族と近い状況にある登場人物がいたのではないでしょうか。

私の片付け

私のケースでいいますと、1話と4話に共感する部分がありました。

実家の状況

父と母の2人暮らしの実家は、とにかく物であふれています。整頓はされているのですが、明らかに使っていないものが多い印象です。
かつて私が使っていた部屋は、ダンボールだらけになっていました。「片付けておいたよ」という母の言葉を受けて、部屋を見てみた第一印象は「倉庫みたい!」でした。
片付けひとつとっても、これだけ認識にギャップがあるのだな、と思いました。

写真のデータを捨てられない

私自身は片づけは得意な方だと思います。整理整頓上手というよりは、物量を適量に保つのが得意なのだと思います。物が少なければ、多少(?)雑な片付け方でも収納スペースにおさまります。

ただし、苦手なのが写真データの整理です。
スマホの容量がパンパンになるくらい写真データをためこんでしまいます。全ての写真をGoogleフォトでバックアップを取っているのにかかわらず、カメラロールから削除できないのです。原本を削除するのが怖いというか…。
この写真への執着に関して、私は心の片付けをする必要がある気がしました。

写真への執着の正体は

カメラロールの多くは、夫と一緒に行った旅行の写真でした。
ある時期、夫は仕事や家族のことなど、いろいろと心労が重なり、ほとんど笑顔を見せなくなってしまいました。
心配しながらも、それまで通りの日々を送っていたのですが、その年の夏の休暇に訪れた旅行先で、久々に夫が笑顔を見せたのです。そこはスペインのイビサ島。「世界一」とも言われる美しい夕陽を見た瞬間でした。前から、いつか行ってみたいと言っていた場所でもありました。

それから、私は、毎年旅行に行く度に「今年も笑って旅行が出来た、だから大丈夫」と思うようになりました。

持病のSLEを発症したときは、「もう旅行には行けないかも」と不安になりましたが、自分なりの工夫を重ねることで、旅行も楽しめることもわかりました。
そのときも、「病気になったけれど、旅行に行けたから大丈夫」と思いました。

いつの間にか私の中で、旅行は、大丈夫であることを確かめるための儀式のような位置づけになっていました。だからこそ、その大丈夫であることの証を、その原本を手放すことが怖かったのです。

本当は、旅行に行けても行けなくても大丈夫なのです。旅行は趣味なのだから、肩の力を抜いて楽しめばいい。都合がつかなくて行けない年があっても大丈夫。また、今度と思えばいいのですよね。

写真だってそうです。万が一、全てのデータが消えてしまっても大丈夫。もちろん、せっかくの思い出なので、残念ではありますが、思い出は残ります。

こんな風にして、やっと自分の執着の正体がわかったのでした。

おわりに

思い出のものや写真を大事にすることは決して悪いことではありません。
必要なものや好きなものをコレクションすることも楽しいことです。
でも、もし本当は片づけたいのに出来ないものがあるのなら、心と向き合う必要があるのかもしれません。

よろしければ、noteの方ものぞいてみてください。
“モノの整理は得意な方だと自負しているが、その一方で写真の整理が大の苦手である。とにかく捨てられない。”

note(ノート)
迷ったときは、過去の自分に聞いてみるといいかも|小田 明子 | ライター モノの整理は得意な方だと自負しているが、その一方で写真の整理が大の苦手である。とにかく捨てられない。Googleフォトにバックアップを取り、写真保存用のアプリにもバッ...

今回ご紹介した本はこちら:『腕が鳴る』著:桂望実

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